風に舞う花のように~第2章~
(´・ω・`)ノチャオ♪
見てる人がいたってことで少しやる気出たので更新ですよ。 更新は不定期ですが、コメント次第ではやる気をだすかもしれませんよ(`・ω・´) 「イルト、お前も今日で15歳だな。そこで、お前に渡すものがある」 そう言って男は何かを差し出した。 「父さんこれは?」 イルトは差し出された木の箱の中からそれを取り出した。 「剣?」 「ああそうだ。イルトは封印戦争の話は知っているか?」 「確か・・かなり大昔の話だよね?世界を滅ぼそうとした不死者・・・名前は忘れたけどそいつを二人の男女が封印したってあれだよね?」 「ああそうだ」 「その昔話がどうしたの?」 「いや、何でもない」 「は?」 「だから何でもない、ちょっとお前の知識を試しただけだ」 「・・・・」 「とりあえずだ、その剣は我が家に古くから伝わる伝説の家宝だから無下にあつかうなよ。売れば三世代は一生遊んで暮らせるほどの価値があるからな」 「マジで!?っうわ」 イルトは驚き剣を落としそうになった。 「その剣をお前に託す為にお前をここに呼んだのだ」 「でも父さん、どうして俺なんだ?」 「理由などない!強いて言うならそんな重要な物はさっさと手放したい、そんなところだ」 「げ・・・父さんそれただの押し付け・・」 「気にするな、お前は気にせずに受け取ればいいんだ!!」 「何!?逆切れ!!!??」 「いいから受け取れ!(お前はまだ、何も知らなくていい・・・)」 「わかったよ・・・ったくわがままなんだから」 「話はそれだけだ。もう戻っていいぞ」 「あいよ」 そう言ってイルトはその場から立ち去ろうと立ち上がった。 「あ、そうそうイルト。お前が18歳になったらこれをお前に・・・」 ・・・・・エ・・・クエ・・・・クエ!!! 「ん?」 一人の騎士が目を覚ますと目の前でペコペコが顔を覗き込んでいた。 「ふぁ~~、朝か。 起こしてくれてありがとさん」 そう言って騎士はペコペコの頭を撫でた。 「くぇ~」 ペコペコは気持ち良さそうに声を上げた。 「しかし、今何か懐かしい夢を見ていた気がするが・・・何だったかな? 思い出せない・・・・まぁいいか」 騎士は少し伸びをすると、置いてあった剣を腰にすえマントを身に纏った。 「さて・・・、行くか」 仕度を整えた騎士は花を一輪その場に添えると、その場を後にした・・・・・ 誰かに贈るその花は・・・ 想いと心を形に変える・・・・・ 素直に伝えられない言葉でも・・・ 笑顔と幸せを秘めながら・・・・ 形となって誰かの心に咲き伝える・・・ ~第二章「花」~ 「うゎ~今日もまたすごい人だ、プロンテラは何時来てもすごいな」 騎士は人の多さに圧倒されながらそう言った。 プロンテラ、それはルーンミッドガルツ王国の首都であり、その人の多さに動けない事も良くあった。 街の北方にはプロンテラ城が高々と聳え立ち、その威厳はまさに国王であるトリスタン3世の権力の象徴と言っても過言ではない。 街には中央の噴水広場を中心に、東西南北の隅々にまで露天が所狭しと並び賑わいを見せていた。 「今日もいろんな物が露天に出てるな。っと今日は露天を見に来たんじゃなかった」 そう言って騎士はキョロキョロと辺りを見回した。 「あったあった」 騎士は何かを見つけるとすぐにそこへと駆け寄った。 「すいませ~ん、これを50個くださいな」 「あ、いらっしゃいませ。今日も買いに来てくれたのですね、ありがとうございます」 そう言って女性は笑顔を浮かべた。 「お?イルトじゃん、こんな所で何してんだ?」 背後から自分の名前を呼ばれ、騎士は振り返った。 「あ、マキさん。それにもとさんも、こんな所で会うなんて奇遇ですね」 「ようイルっち」 イルトが振り返るとそこには、同じギルドのメンバーである騎士マキシミリアンとプリーストであるもとのぶがいた。 イルトがスノーシロップと言うギルドに入って月日はもう7年も経っていた。 入った当初は剣士だったイルトも、今ではプロンテラ騎士団所属(ギルドに入る為の規則で一応名前を置いているだけだが)の騎士となっていた。 「ここで何してんだ?」 「花を買っていたんですよ」 「花?相変わらずだなお前・・ってちょっお前それ花買いすぎ・・」 「え?そうかな?これぐらいじゃ直ぐに無くなりますよ?」 「・・・・・・・・・」 二人はイルトの言葉に一瞬呆れたようだった。 「どうです?二人も花いりますか?」 「いや、俺はいいよ。花ってキャラでもないしね」 「そうだな、マキはどっちかって言うと花よりべとべとの液体って感じだね」 「ちょっ殿それどんなイメージだゴルァ!!」 「そのまんまの意味だゴルァ!!」 「まぁ落ち着いて二人とも。べとべとの液体だって粘り強いって意味で取ればいけるって!」 「・・・・イルト、それ全然フォローになってないのな・・」 「マキよ、負けを認めろ」 「くぅ・・」 マキシミリアンは悔しそうに下唇をかみ締めた。 「もとさんは花いります?」 「俺もいらないよ、俺にはコレがあるからな!」 そう言ってもとのぶは詠唱を始め、周りにサンクチュアリとセーフティーウォールを次々と展開し始めた。 「ふはははは、どうだ!花より綺麗だろ!?」 「・・・・・・・」 「殿、それただの青Jの無駄使いな」 「な!?」 「そんなことばっかしてっからお金貯まんないんだぞ」 「わかってないなマキよ。これは結界師としては避けては通れない道なんだ」 「お前どっちかって言うと決壊師な」 「キサマ!!今からPvこいやゴルァ!」 「やんのかゴルァ!」 「・・・・・相変わらずだな・・この二人・・・」 イルトはそんな二人のやり取りを見て少しため息をついた。 「ちょっとあんた達、何こんな所で馬鹿みたいな事してるのよ?通行の邪魔だし恥ずかしいからやめなさい!」 「ん?」 突然誰かにそう言われ三人は同時に振り返ると、そこには白い髪の女性モンクが呆れた顔でこちらを見ていた。 「お?音夢じゃないか。こんな所で何してんだ?」 「何って買い物よ?」 「ふ~ん買い物ね~、何を買いに来たんだ?」 「な・・何だっていいじゃない、あなた達には関係ないわ」 そう言って音夢は何かを背中に隠した。 「ふ~ん。で、今背中に隠したものは何だ?」 マキシミリアンは音夢のさり気ない行動も見過ごさずにそう言った。 「な・何も隠してないわ!」 「ふ~ん」 そう言ってマキシミリアンはニヤリと笑った。 「イル、殿」 マキシミリアンは目で二人に合図を送ると 「ああ」 「うむ」 二人も一瞬で悟り、にやけながら頷いた。 「な・・あんた達何にやけてるのよ・・」 音夢は後ずさりしながらそう言った。 「いや~別に~」 「ん~今日もいい天気だね~」 「平和だな~」 そんな事を言いながら三人は少しずつ音夢に近づく。 「いくぞ!」 そしてマキの合図と同時にもとのぶは二人に速度増加をかけた。 それと同時にイルトが音夢目掛けて突進した。 「!?」 音夢はイルトを素早くかわす。 「ふっ」 イルトはそれを読んでいたのかニヤリと笑い、すれ違いざまにありったけの花を音夢目掛けばら撒いた。 空中に舞った無数の花が音夢の視界を遮る。 「え!?」 「ニヤリ」 その隙にもとのぶが音夢にサンクチュアリを展開した。 「え?え??え???」 空中には花が、地面にはサンクチュアリが その予想外の二人の行動に音夢は混乱し、戸惑っていた。 「いただきぃ!」 そう言いマキシミリアンは、戸惑い無防備な音夢から何かを奪った。 「あっ」 花の中からいきなり現れたマキシミリアンに音夢は反応出来ず、気づいた時にはもう持っていた物は奪われてしまっていた。 「ナイス二人とも!作戦成功だ!!」 「うむ」 「ニヤリ」 「ああ~~!!!!か・・返してよ!!」 「へへ~いやですよっと。ん?なんだこれ?ポリン人形??」 「ダメ!!!」 音夢が必死にマキシミリアンから人形を奪い返すと、赤い顔でそれを隠した。 「はうぅぅ・・」 音夢は泣きそうな顔で俯いた。 「へ~音夢が人形をね~。真面目だし女の子らしいの嫌いだと思ってたからちょっと心配だったけど、案外女の子らしい可愛いとこあるじゃん」 「にゃぅぅぅ・・・」 「あはは、音夢も女の子だったんだな」 「・・・・・・・」 マキシミリアンともとのぶは音夢の頭を撫でながらそう言った。 しかしそれがいけなかった。 「・・・・・プチ!」 ゾワッ!!! 「え?」 何か物凄い殺気を感じたマキシミリアンともとのぶは硬直する。 「・・・あんた達・・」 「ね、音夢・・お・落ち着け」 「そうだ、ただ俺たちは音夢も女の子だった事を心から嬉しく・・」 「ばっか殿!!それフォローになって・・」 「もう・・・・・許さない!!!!」 音夢の阿修羅覇凰拳が三人に炸裂した。 ズガーン!! 『ぎゃーーーーーーーーーーーーー!!!!!』 マキシミリアン、イルト、もとのぶの三人は木の葉のように宙に舞い地面に叩きつけられた。 ドサドサドサ・・・ 「自業自得よ!!」 そう言って音夢はどこかに言ってしまった。 「・・・・・な・なぁマキ・・イルト・・」 「・・あん?」 「・・ん?」 「もう音夢をからかうのはやめような・・・」 「だな・・・」 「ですね・・」 そしてもとのぶはよろよろと立ち上がると、サンクチュアリを展開した。 「ふう・・酷い目にあった」 マキシミリアンはそう言いながら立ち上がった。 「そういえばイルト、俺達これからノーグロードに行くがお前も一緒に行くか?」 「ん~俺今日はちょっと寄るところがあるんで遠慮しますよ。 それに行っても俺、足手まといですから」 イルトは苦笑いしながらそう言った。 「そんなことは・・・」 そう言いかけてマキシミリアンは自分の失言に気がついた。 イルトは8年前の事件を境に全く剣を抜くことが出来なくなっていた。 それは騎士にとって致命的なもの。 しかしそれでもイルトは騎士を辞めようとはしなかった。 それはある意味での罪滅ぼしだとマキシミリアンは解釈している。 「・・・でもまぁ、用事あるなら仕方がないか」 誤魔化す様にマキシミリアンはおどけた感じでそう言った。 「いつか一緒に行けるといいですね」 「だなぁ~」 「うっしそれじゃあ殿行くか」 「うむ」 そう言ってもとのぶはワープポータルを開いた。 「またなイルト」 「じゃあなイルっち」 そう言って二人はワープポータルの中へと消えていった。 「さて、お花を買いなおしたら俺も行くか」 そう言ってイルトは花を買い、歩き出そうとしたその時だった 「にゃにゃ!?」 ドン! 「ん?」 イルトは足に何かがぶつかるのを感じて下を見た。 「にゃ~」 小さな女の子がイルトにぶつかり倒れていた。 「大丈夫?」 「うん大丈夫だぉ~。わわ、シロのカートのお菓子がばらばらぁ~・・えぐえぐ」 そう言って女の子は泣きながら地面に散らばったお菓子を小さなカートに拾いなおしていた。 「あ、ごめんね。手伝うよ」 そう言ってイルトもお菓子を拾うのを手伝った。 「ありがとうおにいちゃん、ぶつかってごめんなさぃ」 「いやいや、俺こそもっと注意してればよかったね。ごめんね、そうだお詫びにこれをあげるよ」 そう言ってイルトは女の子にお花を一輪プレゼントした。 「にゃ~おにいちゃんありがとぅ~シロも何かお返しお返し~」 そう言って女の子はカートの中をゴソゴソとあさった。 「にゃぁにゃぁあったぁ~。はい、これをおにいちゃんにあげるぉ~」 「ありがとう」 イルトは笑顔でそれを受け取った。 「それじゃあシロはもう行くねぇ~」 「ああうん、もう人にぶつからないように気をつけるんだよ?」 「うん~わかったぉ~、それじゃあまたねおにいちゃん」 「ばいばい」 「シ~ロのシ~は幸せのシ~、シ~ロのロ~はろうそくのロ~」 小さな女の子は楽しそうに歌を歌いながら歩いて行った。 「ははは、無邪気でいいな~」 そう言ってイルトは女の子に貰った物を見た。 「ん?このリンゴよく見たらまだ熟していないな。はは、あの子らしいな」 イルトは笑いながらリンゴを道具袋の中にしまうとプロンテラを後にした。
by iruto
| 2007-10-28 18:16
| 風に舞う花のように
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