風に想いをのせて・・・

風に舞う花のように~第2章~

(´・ω・`)ノチャオ♪
はたして何人がこの更新に気がついているのだろうか?
ひっそりと続ける更新に少しでも楽しんでもらえたら幸いです(`・ω・´)



[2]

「ち・・ついにこの日が来たか・・。イルト、お前はすぐにここから逃げろ!!」
「何を言ってるんだ!?俺も一緒に戦う!!」
「ダメだ!あいつらの狙いはお前だ!!お前は生きなければいけないんだ!!!」
「父さん何を言ってるんだ!?何故あいつらが俺を狙うんだ!!?」
「説明してる暇などない!早くここから逃げろ!!」
激しい爆音がもうすぐ近くにまで迫っていた。
「リオン、ヴェリナス、イルトを頼むぞ」
「ハ!」
「さあイルト様、行きましょう」
そう言ってリオンとヴェリナスはイルトの腕を掴み強引に連れ出し始めた。
「話せ!俺はここで共に戦う!俺だけ生き延びるなど・・・」
「黙れ!!!」
父ルインの声が響き渡った。
「イルト、お前にはまだやらなければいけないことがある、わかってくれ」
「・・・・・・」
「ここでお前が死んでは全てが終わりなのだ」
「・・・・・・」
「やがてお前は全てを知る日がくるだろう、だからこそ今は耐えてくれ・・」
「・・・」
父の言葉にイルトはその重さを知った。
コク
イルトは頷くと父に背を向け一言
「父さん、死ぬなよ」
ルインは無言で頷いた。
「行こうリオン、ヴェリナス!」
「ハイ!」
確実に近づく爆音を背に、イルトは走りだした。
・・・・・・・パチパチ
日も沈み、闇が世界を支配する静寂な夜・・微かに響いた焚き火の音でイルトは目を覚ました。
「ん?・・・いつの間にか眠っていたか」
小さくなりつつあった焚き火に薪を放り込むと、空を見上げた。
「星か・・・綺麗だ」
空には無数の星が闇を打ち消すかのように静かに光り輝いていた。
「また何か懐かしい夢を見ていた気がするが・・・やはり思い出せない」
夢・・最近ずっと何かの夢を見続けている・・・だがイルトは目を覚ますといつもその夢を忘れてしまっていた。
「考えたって仕方が無いか」
そう言ってふと後ろを見ると、ペコペコが気持ちよさそうに眠っていた。
「ここまで休まずに着たから流石にシルも疲れるよな」
イルトは気持ちよさそうに眠るペコペコの頭をそっと撫でた。
シル、それがイルトの乗るペコペコの名前だった。
「もう少しでフェイヨンに着くから、頑張ってくれよ」
眠るシルに、イルトは静かにそう語りかけた。
その時不意に立てかけておいた剣が目に入った。
あの日から一度も鞘から抜かれることの無かった剣は、木の隙間から差し込んだ月光に照らされ、淋しく輝いていた。
「ははは・・、俺攻撃をかわすのだけは上手になったよな・・・」
イルトは剣に向かって呟いた。
イルトは7年前、スノーシロップに加入すると同時にプロンテラ騎士団にも正式に入団し、そこで一から剣士としての実力を磨いた。
自分の不甲斐なさを嘆いたイルトは修行に没頭し、その実力を確かなものへと変えていった。
そして4年前、イルトは20歳を向かえると同時に正式に騎士として任命され初の実戦を任されることとなる。
20歳で騎士、この歳で騎士になることは異例の早さであり、周囲はイルトに期待を隠せなかった。
そしてイルトもその期待に応えようと初の実戦へ望んだのである。
初の実戦当日、イルトには希望と自身に満ち溢れていた。
作戦はグラストヘイム騎士団2階での敵の鎮圧。
騎士に成り立てでは不可能とされている作戦も、イルトなら出来ると騎士団長が鎮圧部隊へと編入したのである。
そしてイルトは、お守り代わりにあの日の片手剣を腰に提げ、そして騎士になったお祝いにとスノーシロップのメンバーから贈られた両手剣クレイモアを手にグラストヘイムへと旅立った。
しかしそこでイルトを待っていたものは・・・・残酷な運命だった・・・・。
敵と遭遇し交戦に入った時の事である、イルトは敵の攻撃を難無くかわし反撃に出ようとクレイモアに手をかけようとしたその時、脳裏に激痛が走り8年前のあの光景が甦ったのである。
目眩、吐き気、そして頭に激痛が走る。
それは剣を引き抜こうとする度に繰り返しイルトを襲った。
そして最後までイルトは剣を抜くことは出来なかったのである。
周囲の期待を裏切ったイルトに、周囲の目は冷たくなっていた。
そしてその日から、騎士団にイルトの居場所は無くなっていった
決して騎士として実力が無い訳ではなく、実力で言うのならその辺の騎士では束にならないと勝てないだろう実力はあった。
事実、槍はあまり得意としないものの、イルトに扱えない剣技は何一つ無かった。
実力はある・・だが実戦では剣を抜けない・・そんなイルトを他の騎士団員は口を揃え『腰抜け』と馬鹿にし、嘲笑った。
共に修行に励み、共に騎士になることを誓った仲間でさえもイルトを嘲笑い拒絶したのである・・・。
しかしスノーシロップのメンバーだけは違った。
そんなイルトを追放することは無く、いつまでも仲間として受け入れてくれた。
それがとても嬉しかった。
そしてとても居心地が良かった・・・・。
だからだろう、イルトが騎士団を辞めることなく所属し続けているのは。
「なぁ、ルイはこんな俺を許してくれるか?・・・いや・・許してくれるよな、きっと・・・」
イルトは手のひらを空に掲げ、指にはめられた指輪にそっと・・・そう呟いた。
夜空に広がる星を眺めながら・・・想いを何かに告げるようにそっと・・・

[3]

「やっとフェイヨンに到着したか」
そう言ってイルトはシルから降りた。
「シル、ちょっとここで待っててくれるかい?」
「くえぇ~」
「よし、いい子だ」
そう言ってシルの頭を撫でると、近くの木に手綱を縛った。
それを見届けるとシルはその場に腰を下ろした。
「それじゃ行って来る」
そう言ってイルトは街の中に入った。
山岳都市フェイヨン
美しい森林と湖に囲まれたこの都市はその名のとおり山の奥地にあり、その厳しい環境の為全ての都市の中で一番の過疎地域である。
街を覆う森林には多くの野生動物が生息し、弓手がその腕を研くのに適した環境であり、またここの木はとても上質で、その木から作られる弓は他の髄を許さなかった。
その為ここは弓手にとってまさに聖地であり、古くから『弓手の始まりと終わりの場所』として語り継がれてきた。
そしてそれを物語る様に、多くの有名な弓手がここから誕生した。
弓手を目指す者なら一度は聞いた事があるだろう伝説の弓手『スカイロード』
その者もまた、ここから生まれたのである・・・。
「ここはいつ来ても風が気持ちいい」
イルトはフェイヨンの街中を歩きながらそう言った。
微かに聞こえる小鳥のさえずりと、木陰から吹き抜ける風がとても心地よく、そしてとても長閑であった。
街と言うよりは村と言ったほうが感じが近かった。
「ハンターか・・・俺はどっちかと言うと騎士よりもハンターの方があっていたのかもな」
イルトは街を囲む木々を眺めながらそう言った。
本当にそう思ってしまうほど、イルトにはここがとても心地よかったのだ。
「でも、俺は手先があまり器用ではないからハンターなんて無理か。
なれても鷹師が限界だな~ははは」
そんな独り言を言いながらイルトはある場所へと向かった。
イルトが目指す先・・・そこには森に囲まれたとても赴き深い建物が建っていた。
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by iruto | 2007-11-12 21:42 | 風に舞う花のように
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