風に想いをのせて・・・

風に舞う花のように~第2章~

(´・ω・`)ノチャオ♪
誰も気づかないところでひっそり更新ですよ。
さり気なく見てくれている人、感謝です。



[4]

建物の前に辿り着いたイルトは、その建物を改めて眺めた。
「なんだろう・・・初めて見るのにどこか懐かしい感じがする・・・」
イルトは建物を眺めながらそう言った。
その建物はどこか淋しげで、でもどこか懐かしい・・そんな風に思わせる建物であった。
一言で表すならそう・・故郷・・その言葉が似合っているとイルトは思った。
イルトはその建物の門を静かにくぐり中に入ると、少し広めの中庭で子供たちが無邪気に遊んでいた。
「ねぇ~待ってよ~~~」
「こ~こま~でおいで~~~」
そんな無邪気な声が楽しそうに辺りに響いていた。
「ははは、なんか無邪気な子供って見てるだけで幸せになるな」
そんなことを言いながら子供たちを眺めていると、子供たちの中にいた一人の大人の女性がイルトに気づきやってきた。
「あの・・・何か御用でしょうか?」
白髪の女性は警戒しながらイルトにそう尋ねた。
「あ、えっとここはニヨヒノカって言う孤児院ですよね?」
「ええそうです。ですが、あなた様のようなお方が孤児院に何用で御座いますか?」
女性は警戒心からか少し棘がある言葉でそう言った。
それは当然の事だろう、どこの者ともわからぬ騎士がいきなり訪ねてきたのだから。
ましてやここは孤児院、そこに突然騎士が現れたとなると警戒するのは当たり前の反応である。
「申し遅れました、私の名はイルトと申します。実は今日は少しお聞きしたいことがありこちらへ訪ねてきた次第です。いきなりの訪問でさぞ驚かれた事と存じます、その点では深くお詫び申し上げます」
「いえいえ、ご丁寧にどうも。それで、本日はどの様なご用件で?」
「少しお聞きしたいのですが、こちらにナイルと言う女性はいらっしゃいますか?」
「ナイル・・・・?」
その言葉を聞き、女性はさらに警戒心を高めた。
それを悟ったイルトは、女性にその経緯を話した。
ナイルと言う名の女性に出会ったのは今から7年前、まだ当時剣士だったイルトがモロクに訪れた時の事である。
水を買いに来ていたイルトはそこで、カプラ嬢と何か言い争いをする一人のノービスに出会った。
そのノービスはカプラ嬢の忠告も聞き入れず、傷だらけのままろくに傷の手当てもせずにシーフ転職場へと向かって行った。
イルトはそのノービスを放っておく事が出来ず、その後を追いかけた事が始まりである。
最初は全ての人に敵対心を抱いていたナイルであったが、イルトは諦めることなくありのままの姿で接し続けた。
そしてその心が通じたのか、彼女は次第に心をひらいていくようになったのである。
それからもナイルとはちょくちょく連絡を取り合っていたのだが、数ヶ月前に突然連絡が取れなくなったのである。
何かあったのではとイルトは心配し、前にナイルはニヨヒノカという孤児院から脱け出してきたと言う話をしていたのを思い出し、何かわかればと思いここを訪れたのである。
その経緯を聞いた女性は少し申し訳なさそうな顔でこう言った。
「そうだったのですか、あのナイルが・・・。何とかお力になりたいとは思うのですが、私も何も知らないのです・・・。遥々訪ねていただいたのに何もお力になれなくて本当に申し訳ありません・・・」
女性は本当に申し訳なさそうにお辞儀をした。
「いえ、いいんですよ。そちらが謝る必要は何もありませんから。だから顔を上げてください」
イルトは慌ててそう言うと、女性は顔を上げて微笑んだ。
「あなたはとてもお優しい方ですね」
そう笑顔言う女性からはもう警戒心は消えていた。
「い・・いやいやそんなことはないですよ」
イルトは照れながら慌ててそう言った。
「あらあら、お顔が真っ赤に・・フフフ」
「あうぅぅ・・」
そうからかわれたイルトはさらに顔が赤くなっていた。
そんな時一人の女の子が女性の後ろから顔を出した。
「ねぇ先生、この人だ~れ?」
女の子はあどけない顔でそう聞いた。
「このお兄さんはお客さんですよ」
「お客さん?」
「ええ、そうよ。ほらご挨拶は?」
「えっと・・・お兄ちゃんこんにちは」
「こんにちは。
そうだ、君にこれをあげるよ」
そう言ってイルトは花を一輪取り出すと、女の子にプレゼントした。
「うわぁ~綺麗なお花~、お兄ちゃんどうもありがとう」
「どういたしまして」
イルトは笑顔でそう返した。
「ねぇ先生見て~、お兄ちゃんに綺麗なお花を貰ったの」
「あらあら、本当に綺麗。よかったですね」
「うん♪」
女の子は本当に嬉しそうだった。
それを見ていた周りの子供たちも羨ましがり、こちらに集まってきた。
「いいな~ねぇお兄ちゃん僕にもお花ちょうだ~い」
「私も私も~」
「ずるい~私も欲しいよ~」
「あはは、お花はいっぱいあるからそんなに焦らなくても大丈夫だよ」
そう言ってイルトはそれぞれ子供たちに花をプレゼントした。
「お兄ちゃんありがとう」
「わぁ~ピンク色のお花だ~綺麗~」
「僕のは青色だぞ~」
「私のは黄色なんだよ~」
子供たちは貰った花を自慢しながら喜んでいた。
「わざわざどうもすみませんね。こんなにもお花を頂いてしまって」
「いえ、いいんですよ。
花をプレゼントして笑顔で喜んでくれるとやっぱり嬉しいですから」
「ナイルが心をひらいた理由がわかりましたよ」
女性は小さくそう呟いた。
「え?」
「いえいえ、何でもありません。
独り言なのでお気になさらずに」
「????」
イルトは訳がわからずただ首をかしげるだけだった。
「あ~~~~いるっち~、こんな所で何してるの?」
「え?」
いきなり自分の名前を呼ばれ振り返ると、そこには双子だと思うほどそっくりな緑色の髪のプリーストが二人驚いた顔でこちらを見ていた。
「え?七??それにリンクさん?」
それは同じギルドに所属している七星水月と同盟ギルド『夢イルカ』に所属しているリンクだった。
「こんにちは、いる㌧」
「やっほ~いるっち、でもこんな所で何してるの?」
水月は不思議そうな顔でそう聞いていた。
「えっと人探し・・・・かな?」
「人??誰なの?」
「えっと・・・うんと・・・・秘密♪」
「あ~誤魔化した~~、ずるいよ~~ね~誰なの~~ね~~???」
「私も気になるな、いる㌧が人探しなんて珍しいしね~」
リンクは期待に満ちた顔でイルトを眺めそう言った。
「うぐ・・・だ・・だから秘密・・・」
「教えて欲しいな~」
そう言いながらリンクはその金色の瞳を輝かせ、イルト瞳をじぃーっと見つめた。
「教えて欲しいな~~」
そう言いながら水月までイルトの瞳をじぃーと見つめた。
「うぅぅ・・だ・・だからひみ・・・くぅぅ・・」
もうイルトはその二人の瞳にノックアウト寸前だった。
「こら水月、イル㌧が困ってるじゃない。あまりしつこく聞いたらダメだよ?」
「リンクも、もうその辺でやめないとイルト君が可哀相だよ」
そう言いながら建物の中から騎士と聖騎士がこちらに向かってやってきた。
「あ、トレさんにドルさん、お久しぶりですね」
「やぁイル㌧、久しぶり」
「元気そうだね」
現れた騎士と聖騎士は共にイルトの知り合いで、二人とも夢イルカのメンバーであった。
騎士の名前はトレッド、そして聖騎士の名はドルフィーと呼んだ。
青い髪をした聖騎士ドルフィーは夢イルカのマスターであり、リンクと結婚している。
彼には人をひきつける何かがあり、ギルドのメンバー皆から慕われている。
その理由はきっと、彼が持つ全ての者を包み込む優しさと、全ての者を守り抜く強さなのだろう。
白い髪をした騎士トレッドはドルフィーの弟で七星水月と結婚している。
彼は表には出さないが、その胸のうちに秘める強さは全ての人に勇気を与えた。
兄ドルフィーが全てをまとめ導き、弟トレッドが勇気を与える。
この夢イルカというギルドの居心地の良さはきっと、この二人の調和からきているのだろう。
そんなとても仲のいい兄弟がイルトにはとても眩しかった。
「皆はここで何してるの?」
「里帰りかな?」
「里帰り?」
「ここは俺たちにとって思い出深い故郷だからね」
「水月やリンクさんはわかるけど、でもドルさんの故郷ここだったっけ?」
「故郷にもいろんな意味があるってことさ」
「??????」
イルトは訳がわからずただ首をかしげるだけだった。
「はは、そうだな一言で言うなら秘密ってところかな」
そう言ってドルフィーは何かを思い出すように辺りを眺めていた。
「へ~、よくわからないけどわかりましたよ。っとそれじゃあ俺用事があるんでもう行きますね」
「そうか、残念だ。久しぶりにゆっくり話をしたかったんだけどね」
「すいません、それではまた」
「またなイルっち」
「じゃあね~いる㌧」
「いるっち~今度誰探してたか教えてよね~」
そう言いながら見送る四人を背にイルトはその場を去ろうと歩き出した。
「待ってください!」
丁度門をくぐろうとしたところで後ろから誰かに突然そう言われ、イルトは足を止めた。
「・・・待ってください」
振り返るとそこには白髪の女性がいた。
「あの・・・、もし宜しければこれをあなたに・・・」
そう言って白髪の女性はイルトに何かを差し出した。
「これは?」
「古くからこの孤児院に伝わるお守りです」
それはとても古いロザリーがついたネックレスだった。
「え!?こ・・こんな大切な物いただけませんよ・・・」
「いえ、あなたに持っていてもらいたいのです」
「でも・・・」
「ここにあってもただ大切に保管されるだけですから。それに・・・これを貴方に渡さなければいけない・・そんな気がするんです」
白髪の女性は本当に優しい笑顔でそう言った。
「・・・わかりました。大切にしますね」
そう言ってイルトはそのネックレスを受け取ると、首にかけた。
「それと・・もしこの先ナイルに会うことがあれば『淋しくなったらいつでも帰ってきてください、あなたの帰るべき家はここにありますから』と伝えてください・・」
「わかりました、もし会えたらそう伝えておきます」
「御願いします、お忙しい中御呼び止めして申し訳ありませんでした」
「いえいえそんな、こちらこそ突然訪ねてすいませんでした。それにこんな大切なお守りまで頂いてしまって・・・本当にありがとうございました」
イルトはそう言って深くお辞儀をした。
「それでは行きますね」
「はい、またいつでもいらしてください」
「では」
そう言ってイルトはその場を後にした。
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by iruto | 2007-12-04 07:56 | 風に舞う花のように
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