風に想いをのせて・・・

風に舞う花のように~第2章~

(´・ω・`)ノチャオ♪
見てる人も見てない人もこんにちは。
久しぶりに更新しておきますよ~。
さり気なく見てくれている人、感謝です。
コメントのお陰でやる気が出たりします(`・ω・´)



[6]

「ハァハァハァ・・・・」
息が苦しい・・心臓が張り裂けそうだ・・・。
時折雪に足を取られ転びそうになりながらもイルトは必死に走り続けていた。
容赦なく吹き付ける吹雪が視界と体力を奪っていく・・・・。
だが立ち止まることは許されない、走り続けなければならないのだ・・・。
「ハァハァ・・・チッ、奴らめ・・・もうこんなところまで追いついてきたか」
「イルト様・・私達がここで奴らを食い止めます!だからイルト様は先に・・・」
「リオン何を言っている!?そんなこと出来る訳無いだろう!」
「でもこのまま三人で逃げていたのでは追いつかれるのは時間の問題です。
それなら少しでもイルト様の為に時間を稼ぐ事の方が大切なのです、わかってください・・・」
「ヴェリナスお前までも・・・」
「私達の使命はイルト様を命にかけてもお守りすることなのです」
「何故だ・・・何故そこまで!!?」
「イルト様、今はまだ御教えする事は叶いません。
ですが、いつの日かきっと全てがわかる時が来るはずです、だからどうかその時まで生きていてください・・・。
それがお父上の願いであり、私達の願いでもあるのです」
「リオン・・・」
「こんな私達でしたが、イルト様と共にお過ごしする事が出来た事を幸せに思います。
どうかお元気で・・・・」
「・・・・リオン、ヴェリナス」
「はい」
「今までありがとう・・・だが約束してくれ、生きてまた俺と再会することを」
「・・・・・はい!」
それだけを聞くと、イルトは二人を背に走り出した。
下唇を強く噛締め、流れそうになる涙を必死に堪え、走り続けた。
「行ったな・・・・」
「ああ・・・」
「なあヴェリナス」
「なんだ?」
「お前はイルト様に使えて幸せだったか?」
「そんなこと聞かなくてもお前が一番良く知っているだろ?」
「そうだな」
そう言ってリオンとヴェリナスは遠くから迫り来る敵に向け杖と剣を構えた。
「俺達の命はきっとここで終わりだろうな・・・だが後悔はしていない」
「ああ、後悔なんてあってたまるか」
「それじゃあ、あいつらに教えてやろうぜ」
「何をだ?」
「イルト様と共に過ごした日々がどんなに幸せだったのかをな!!」
「ああ!!」
・・キン・・・ガキィ・・・ズドン・・・
遠くの方で激しい戦闘の音が聞こえる・・・・・。
一度だけイルトは後ろを振り返った。
だが直ぐに前に向き直り一言、
「皆が守ろうとしてくれたこの命・・絶対に無駄にはしない・・・・」
そう呟くと、イルトは再び走りだした・・・・。
二度と後ろに振り向くことは無く・・・頬に伝う熱いものを感じながら・・ただ走り続けた・・・・・・。
「・・・・ぅぅ・・・・ん・・・・」
ゆっくりと目蓋を開く。
「(ここはどこだ?)」
視界の定まらない目でぼんやりと辺りを見回す。
その視界のすぐ先には心配そうな女性の顔があった。
「あ、やっと目を覚ました。もう大丈夫なの?いきなり気を失うんだもん・・・」
「あ・・れ?君は??」
「イルト寝ぼけてる・・・」
「(あれ?俺はどうして眠ってたんだ?今何の夢を見てたんだっけ?ここはどこだ?この子は誰だ?)」
記憶が錯乱し今の状況が上手く飲み込めなかった。
「イルト?」
しかし錯乱していたのは一瞬のことで、すぐさま脳裏に先ほどまでの光景がフラッシュバックした。
焚き火・・グリズリー・・・そして・・・・
「!!?」
いきなり記憶が蘇りイルトは身体を起そうした。
「っ!!」
「ダメだよ!まだ安静にしてなきゃ・・」
その言葉でイルトはあることに気がついた。
「(あれ?この体制ってもしかして・・・)」
「ん?どうしたのイルト?」
「もしかして俺が気を失っている間ずっと膝枕しててくれたのか?」
「え?あっ・・・・」
そう言いながらナイルの顔がどんどん赤くなっていった。
「・・・・・」
今の状況を改めて意識したイルトも顔が赤くなっていた。
「ご・・・ごめん」
そう言ってイルトはナイルの膝から離れた。
「あ・・・うん・・・」
「その・・ありがとな」
イルトは照れながらそう言った。
「べ・・べつに膝枕したのは気まぐれで・・その・・ふ・深い意味なんて全然無いんだからね!」
顔を真っ赤にしながらナイルが慌ててそう答えた。
「はは、ちゃんとわかってるよ」
「・・・・・・全然わかってくれてないじゃない・・」
「ん?何か言った?」
「な、何も言ってない!!」
「??」
イルトは訳がわからなくて首をかしげていた。
「そういえばイルトがグリズリーと戦っていた時から変だと思ってたけど、やっぱり体調悪かったんだね」
「ああ・・・あのこと忘れて剣を抜こうとしちゃってな・・・」
イルトの「あのこと」と言う言葉を聞いた瞬間ナイルの表情が悲しみの色に染まった。
「まだ直っていないんだ・・・」
「うん・・まぁな・・」
「それであんなに動きが鈍かったんだ・・・頭痛と吐き気の中あそこまで無理したら気絶もするよ・・・」
「はは、でもナイルが来てくれて本当に助かったよ」
「あ・・そのことなんけど・・・実は枝折ったの私・・・」
「はい?」
「いや・・実は・・・その・・焚き火をしようとして・・・ごにょごにょ・・」
「最後の方が上手く聞こえなかったんだけど、えっとつまり?」
「・・・・間違って枝を焚き火の中に入れちゃって・・そしたらグリズリーが・・・」
「・・・・・・」
「あの・・・・・」
「・・・・今度は気をつけるんだよ?」
「・・・うん・・」
暫くの沈黙の後、
「・・まぁお互い無事だったって事で」
「ソダネ」
「そう言えば、ナイルと連絡取れなかったのはどうしてなんだい?」
「実はアサシンになったその日にある仕事を持ちかけられてたんだ。その仕事で暫くの間隠密に行動しなければならなくて・・・・そのごめん」
「謝らなくてもいいよ、理由もちゃんと聞けたし。それに仕事だったなら仕方がないさ」
「でも・・」
「ほらそんな顔しない、俺はホントに気にしてないから」
そう言ってイルトはナイルの頭を撫でた。
「私を子供扱いするな」
そう言いってイルトの手を払いながらもナイルは少し嬉しそうだった。
「はは、そんなつもりじゃないんだけどな。
ただ何となく撫でたくなったのかな」
「もう・・イルト相変わらずなんだから」
「・・・ク・・・・クククク・・・あはははははは」
「いきなり何笑ってるの?」
「ご・ごめん、何かこんなやり取り凄く久しぶりでホッとしたら急に笑えてきてな・・・ククククク」
「そんな何も笑わなくても・・・」
「いやだってもしかしたら俺ナイルに嫌われたのかな~なんてちょっと不安だったからさ、連絡も突然取れなくなったし」
「そんなことある訳ない!!」
「え?」
「あ・・・・」
ナイルの顔が今までにないくらい真っ赤になった。
「えっとそんなに力いっぱい否定しなくてもいいよ?うん嬉しいけど」
「う・・うるさいうるさいうるさいうるさいうるさい!!!!」
「ええ!?どうして俺が怒られ・・」
「うるさいうるさい!!・・・もうイルトなんて知らない!!!!」
そう言ってナイルはイルトから顔を背けてしまった。
「えっと・・・よくわからないけど・・ナイルごめん・・・俺が悪かった。
だから機嫌直してくれないかな?」
「・・・・・・」
「・・・ホントゴメン」
「・・・・・嫌いになるはず無いんだから」
人に聞こえないくらい小さな声でナイルはそう呟いた。
「えっと・・声が小さくてよく聞こえなかったんだけど・・」
「・・・・・・・」
「え~と・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・なんかごめん」
「・・・・・怒ってないって言ったの!!」
「いや・・だからそれ怒って・・」
「怒ってないの!!」
「・・・・はい」
イルトの意見はナイルに強引に押し切られる形で幕を閉じた。
どうやらイルトは思いっきり尻に敷かれるタイプのようだ。
「そういえば俺ってどのくらい気を失ってた?」
「1~2時間くらいだったと思うけど」
「そっか、辺りはまだ暗いしもしかしたらまる1日気を失ってたんじゃって思ったけどそんなことなかったんだな」
「何?永遠の眠りの方がよかった?」
そう言ってナイルは嬉しそうにカタールをちらつかせた。
「い・いや遠慮しとく・・」
「な~んだ、残念」
そう言って笑いながらカタールをしまった。
・・・・・・イルトにとっては全然笑えなかったのは秘密の話である。
「ん~とりあえず」
イルトが何かを言いかけたその時である、
ガサガサガサ・・・
二人の直ぐ側の茂みから何かが近づく音が聞こえた。
「!!?」
一瞬にして二人に緊張が走る。
そしてその瞬間茂みの中から何かが飛び出した!
「っ!?」
かわせないと判断し咄嗟にイルトは防御の体制をとった。
・・・・ぽて。
「え?」
多少のダメージを覚悟していたイルトだったが、その衝撃は以外にも・・というか全くと言っていいほど弱々しかった。
「あれ?」
そう言ってイルトは自分の足元に転がる当たってきた何かを見てみた。
するとそこには地面に転がり気絶している薄い赤色の物体がいた。
「えっと・・・ポリン?」
「みたいだね」
ナイルも物体を眺めながらそう答えた。
「なんでまたポリンが?」
「さぁ?」
二人は呆気に取られながらポリンを眺めていた。
するとポリンが目を覚まし二人を威嚇した。
「ピギーーーー!!!」
「あ、威嚇してる」
ナイルはそう言いながらポリンをツンツンした。
「かわいいな」
一生懸命威嚇しているようだが、二人にはそんな必死な姿が逆に微笑ましかった。
「ピギーーーーュゥゥ・・・・・」
・・・・・ぽて。
威嚇していたはずのポリンだったが次第に力を失いそのまま地面に転がってしまった。
「あ、転がった」
「転がったな」
「かわいい・・・」
ナイルはポリンの愛くるしさに我を忘れ、夢中でツンツンしていた。
ポリンはそんな力もないのか、ナイルにいじられても抵抗さえしなかった。
「ん~?もしかしてお前お腹空いてるのか?う~ん何か食べ物あったかなぁ~」
そう言ってイルトはゴソゴソと自分の道具袋を漁った。
ナイルは期待の眼差しでイルトを見ていた。
「・・・・・何にも無い・・・」
落胆したようにイルトは言った。
「ぇー」
ナイルはイルトにがっかりした目を向けた。
「う・・そんな汚いものを見るような目で俺を見ないでくれ・・・」
「だって・・ねぇ?」
ポリンにそう同意を求めるように言った。
「やっぱり花なんて・・・ダメだよな?」
「・・・・・・」
ナイルの目が汚物を見る目に変わった。
「いや・・だからそんな目で見るのはやめてくれ・・・」
「役立たず」
「うわ、さらっと酷いこと言うし・・。
だって本当に何も・・・・お?」
もう一度道具袋を探してみると、一つだけ食べられそうな物が中から出てきた。
「リンゴだ」
「おお~~」
ナイルの眼差しが一気に信頼の眼差しへと変わる。
「・・・でもまだ熟してない・・」
「・・・・」
一気にナイルの目が汚物を見る目へと戻る。
「だからそんな目で俺を見るなって・・・」
「だって・・・ねぇ~?」
ナイルはまたポリンに同意を求めるようにそう言った。
「・・・・・」
何となくイルトはため息をつきたい気分だった。
「とりあえずこのリンゴまだ熟してないけど食べるか?」
そう言ってポリンの前にまた熟してないリンゴを差し出した。
「ぴき~~~」
今まで反応の全く無かったポリンが突然動き夢中でリンゴを食べ始めた。
「なんだ~やっぱりお腹空いてたのか~」
「食べる姿も・・かわいい・・」
「はいはい・・・」
イルトは本当にため息をつきたかった。
「ぴき~~~♪」
リンゴを食べ終わったポリンは元気良くイルトの周りを駆け回った。
「お?元気になったな、良かった良かった」
「ぴき~♪」
「うむ、ポリンよお腹が膨れたならそろそろ自分の家に帰るんだぞ。
さぁ~てまだ夜中だし明日に備えそろそろ寝るかな」
そう言ってイルト自分の寝床に戻ろうとした。
ポヨンポヨン。
「ん?」
ポリンが寝床に戻ろうとするイルトの後をついてきた。
不思議に思って少し歩いてみる。
トコトコトコ。
ポヨンポヨンポヨン。
ついてくる。
「あれ?」
もう少し様子を見ようと辺りを歩いてみる。
トコトコトコトコトコ。
ポヨンポヨンポヨンポヨンポヨン。
やっぱりついてくる。
「・・・・・・」
ダッ!
イルトはムキになって走り出した。
ズザッ!
ポリンも一緒に走り出した。
「・・・・・しまった・・懐かれた・・・」
「ぴき~~♪」
そんなイルトの気持ちを他所にポリンは喜んでいる。
「・・・・・はぁ・・」
イルトは心の底からため息をついた。
「良いな・・・イルトばっかり」
イルトとポリンのやり取りをどう勘違いしたのか、ナイルが羨ましそうにイルトを見ていた。
「ナイル」
「?」
「欲しかったら遠慮なく持っていって良いぞ」
「え?いいの?」
「遠慮なく持っていってくれ、俺はもう疲れたから寝る」
「イルトありがとう~♪」
「・・・ドウイタシマシテ」
そう言ってイルトは自分の寝床に戻っていった。
「あ・・」
寝床に戻ると、寝るために地面に敷いていた愛用のマントにはさっきグリズリーが投げた木が突き刺さりボロボロに破れていた。
「・・・・・・」
イルトは無言のままマントを救出すると、少し埃を掃ってから地面に再び敷きその上に横になった。
「クェ~」
するとイルトの横にシルが何処からともなく現れて眠り始めた。
「(こいつ・・今まで隠れてたくせに寝るときになるとちゃっかり現れるんだな)」
自分の相棒ながらちょっと情けなかった。
そして耳を澄ますと、遠くからは何か楽しそうな声が微かに聞こえてきた。
「・・・・はぁ」
そして深いため息をつく。
「(明日起きたらこれが全て夢でありますように・・・・)」
そんな儚い願いを胸に、イルトはゆっくりと深い眠りへと入っていった・・・・。
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by iruto | 2008-01-29 11:10 | 風に舞う花のように
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