風に想いをのせて・・・

風に舞う花のように~第2章~

(´・ω・`)ノチャオ♪

ブログよ!私は帰って来た!!
はい、どうでもいいですね。
さくっと更新しますよ~。



[8]

魔法都市ゲフェン
周囲を湖に囲まれた島に作られたミッドガルド王国最大にして唯一の魔法特化型の都市。
ゲフェンがミッドガルド王国で唯一の魔法特化都市であるのには理由がある、円錐状の塔を中心にすり鉢上の地形に作られたゲフェンはその位置的作用か、地形的な作用か、特殊な、そして、濃密な魔力の流れに覆われている。
その特殊な立地条件故に、魔法特化型、という特殊な都市になったゲフェンだが、ゲフェンの特殊性の理由を知っている人間は学者や研究者を除いて意外と少ない。
何故か?
それは魔法を研究している一部の知識人がその事実を隠しているからである。
魔法研究等、国家レベルの研究で得られたものが隠蔽されることは多い。
だが、それは必要ゆえの隠蔽である。
もし仮に、全ての魔法知識を公開すれば、それを利用し、悪事を働く人間もいるだろう。
それはなんとして阻止する必要がある。
それに、ミッドガルド王国ほど強大ではないとはいえ、他国があることは事実だ。
隠蔽行為は、他国の強化防止、牽制、自衛のためでもある。
では、魔法研究者はどうなるのか?
当然、魔法研究に携わる人間は全員、あらゆる魔法研究による成果の漏洩禁止、および、悪用禁止を契約した上で研究に携わっている。
契約違反者には、幽閉、監禁、罰金は当然、ひどければ死刑、実験台等、ひどい刑を下されることもある。
それに、事実隠蔽をしているが、研究の成果を独占しているわけではない。
一部の強力な戦闘魔法を除けば、一般公開されている魔法もあるし、天気予報、災害予報、農業関係、対モンスター他、魔法研究による恩恵は広く一般の人々にもたらされている。
むしろ、戦闘関係でもないゲフェンの特異性が隠蔽されている事実のほうが『特異』なのである。
だが、そんなゲフェンの特異性の理由を知らない人々も、はるか昔から、ゲフェンという場所の特異性を誰よりも知っていた。まず第一に、この街の上空が雲に覆われたことが一度もないこと。濃密な魔力の流れのせいで、ここに雲が流れ込まないのだ。他には他の場所よりも魔法の発動、威力が高く、それと同時に魔法が暴走しやすいこと。魔力は、空気のように存在し、魂と精神を持つもの、つまりは魂ある『全ての生物』から生み出され、気流のように世界中を流れている不可視のエネルギー。
だが、空気とは違い、その状態は不安定、かつ、流動的に存在している。
それは魂と精神の反応によって魔力が生み出されるからであり、その結果、魔力は精神の、正確には『意思』に呼応し、変動する。
魔力は誕生した瞬間から『意思』に従い、やがて『意思』から離れることで世界を風のように流れ始め、そして、再び『意思』の元に統率される。
それが『魔力』であり意思に従う特性ゆえに、魔力が濃いゲフェン近郊は特に魔力の力が強まるのである。
知られてはいけない事実、そして知らないからこそ手に入る平穏と幸せ。
その曖昧で、でも昨日も確実に訪れた平穏。
事実を知る者は皆こう願うのである、
『どうか、今日も平穏な一日でありますように』っと・・・・。
そしてここ、ゲフェン道具屋裏のとある空間に集まった人々。
何も知らない彼らもまた、当たり前の平穏が今日もまた訪れると・・そう信じていた。
「おっそいな~イルトの奴」
「少しくらい遅れるならわかるが、流石に集会が終わっても現れないとなると問題だな」
「もしかして忘れてるんじゃないわよね・・・」
「・・・・・ありえるな」
「誰かイルトの所在知ってる人いないのか?」
「私昨日フェイヨンでイルっちを見たよ」
「俺はプロンテラで見たな」
「あ~そういえばフェイで会った時、イルっち誰かを探してるって言ってたような・・・」
「誰かを探して自分が行方不明になったらダメだろ・・・」
未だ現れる気配の無いイルトをずっと待っていたスノーシロップのメンバーであったが流石に我慢の限界が近いのだろう、皆口々に不満を言い始めていた。
「そう言えば蒼龍王もまだ来てないよな?」
「黒ならきっとまたどこかで寝落ちだろ?」
『そうだね』
一同の声がシンクロする。
蒼龍王、それはスノーシロップのメンバーの一人の名で通称『寝落ち大王』と呼ばれているアサシンのことである。
彼の偉業は数知れず、どんな場所でも寝落ちをする彼の特技はある意味では尊敬に値する。
中でもグラストヘイムで寝落ちをした伝説を知らぬものは居ないであろう。
また『蒼』龍王なのにもかかわらず『黒』と呼ばれているのは、彼にはもう一つの裏の顔『黒龍王』と言うのがあるとかないとか。
「黒はわかるとして、イルトがこないのはおかしいだろ?」
「ま・・まぁきっとイル㌧も何か理由があって遅れてるのかもしれないしもう少し待ってみない?」
そんな中、苛立つ皆をなだめ様とそう言ったのはスノーシロップのマスターでありプリーストのさゆきちだった。
「そう言うけどなさゆ、その言葉を聞くのこれでもう7回目だぞ?」
「う・・・・」
「俺もそろそろ諦めるべきだと思う」
「で・でも・・」
「正直さゆも諦めてるだろ?」
「・・・・・・まぁ・・ね」
『・・・・・・・はぁ』
溜まり場に集合したスノーシロップのメンバー皆のため息が見事にシンクロした。
「でもボクはもう少しイル㌧を待ってみるよ」
皆が既に諦めの色を隠せない状況でそう言ったのはアサシンのタラックだった。
「でもな、タラ・・流石に3時間も待ってるんだぞ?」
「もう少しで来るかも知れないよ?それにもしイル㌧が来たときに誰も居なかったら悲しむと思うから」
「僕もイル㌧を待つよ」
ハンターのヴァレンスが同意するようにそう言った。
「・・・・ふぅ・・わかったよ、でも後1時間待ってもイルトが来なかったら出発するからな?」
諦めながらもマキシミリアンはそう言った。
ゲフェン道具屋裏はギルドスノーシロップの溜まり場であり、今日は月に数回ある集会の日。
いつもなら集会が終わると皆でどこかへ出掛けるのだが、今日はイルトが遅れているため皆ここで彼の到着を待ち続けているのである。
「しかし・・・こんなに待たせてるんだ、それ相応の理由が無いと許さないからな」
マキシミリアンは笑いながらそう言ってはいるが半分本気であった。
「ホントだよな、場合によっては・・・」
もとのぶがそう言おうとしたその時であった、
ズザーーーーーーーーーーーーー
溜まり場に物凄い勢いで何かが滑り込んできた。
その風圧によってもとのぶのかぶっていたサンタ帽が宙に舞った。
「ごめん皆、遅れた」
そう一言もらし溜まり場に滑り込んできたのは皆を待たせた張本人イルトだった。
「ク・・・クェ・・・・」
イルトの乗るペコペコは息を切らしヘトヘトの様子だった。
無理もない、今まで休みなしで走らせてきたのだから。
「お・・お前なぁ・・どれだけ俺達が待ったt・・・・」
そう言おうとしたマキシミリアンは途中であるものを見て言葉を失う。
皆も同じであった。
「ん?どうしたの皆。口があいてるよ?」
「な・・・」
「な?」
「・・・・・・・」
「・・・・・・」
少しの間沈黙が流れる。
そして最初に口を開いたのはマキシミリアンだった。
「お前な・・そのペコペコに乗ってる女はなんだ?俺達がこんなにも待ってる間お前はそうやってデートをしていたわけか、そうかそうか。
しかも俺達に見せびらかそうとわざわざ連れてくるとはな・・・あいた口が塞がらないとは正にこのことだ・・・」
「うんうん」
皆口を揃えそう頷いた。
「ボクはイル㌧のこと信じてたのに・・・」
タラックが悲しそうにそう言った。
「イル㌧も隅に置けないですね」
ヴァレンスは茶化すようにそう言った。
「ちょっと待って皆、これには深い訳が・・・」
「ほぅ?深い訳がね~、何がどうなったらそうなるのか是非聞きたいものだな」
そう言ってマキシミリアンは槍を取り出した。
「ちょ・・マキさん全然聞く気ないじゃん!」
「いや~そんなことはないぞ?じっくり聞いてやるよ・・あ の 世 で な ! !」
そう言うと同時にマキシミリアンはイルト目掛け槍を突き出した!
ビュ!
間一髪イルトはその槍をかわすと慌ててペコペコから飛び降りた。
「ちっ」
攻撃をかわされた怒りが更にマキシミリアンの理性を奪う。
「ちょ・マキさん話を・・ちっ・・シルお前はナイルを連れて非難しろ!」
「クェ!」
シルはその言葉聞くと、ナイルを乗せたまま安全な場所へと離れた。
「逃げるなイルト!大人しく俺に刺されろ!!」
「な ん で だ よ !」
懸命に逃げ回るイルト。
「マキさん俺の話を聞いてくれ!」
「うるさい!!話は後で聞く!今は大人しく俺に刺されろ!!!」
「刺された後じゃ遅いだろ!!」
「知らんそんなこと!!」
ビシュシュ!!
「ちょっと何してるの!?マキやめなさい!」
音夢はマキシミリアンを止めようと割って入る。
「音夢さん・・」
止めに入る音夢の姿は女神のように輝いて見えた。
「音夢!邪魔したら昨日のプロでのこと話すぞ!!」
「ぅ・・・」
その言葉で音夢の動きが止まる。
「ささマキさん、遠慮なくイルトを刺してください」
そう言って音夢は引き下がる。
「ちょ・・そんなぁ・・」
女神は権力に簡単に屈した。
「マキ!何やってるの!!?」
本気でまずいと思ったさゆきちがすかさず止めに入る。
「そうだマキ!何してる!!?」
もとのぶも乗り出した。
「そんな攻撃じゃイルトを確実に仕留められないだろ!もっと本気でやれ!!」
そう言ってもとのぶはマキシミリアンにブレッシングと速度増加をかけた。
「ちょ・・殿何やってんの!?さらに状況悪化させてどうするの!」
さゆが慌ててもとのぶを止めようとしたが遅かった。
「サンキュー、殿!」
そう言ってマキシミリアンはさらに攻撃の手を速めた。
支援がかかったマキシミリアンの攻撃はさらに鋭さが増し、何とか逃げ回っていたイルトを窮地に追い込んでいった。
「ちょ・・マジでかわせな・・うわ!やば・・ちょ・誰か止めて!!」
そんなイルトの悲痛の叫びも、殺気立ったマキシミリアンに近づく事も出来ずにいるスノシロメンバーには断末魔にしか聞こえなかった。
「イルト!逃げ回っても苦痛な時間が延びるだけだ!潔く死ね!!!」
「ちょ・・ついに『死ね』とまで言っちゃってるじゃん!」
「うるさい!!いいから死ね!早く死ね!直ぐ死ね!というか死ね!むしろ死ね!!」
「嫌だって!!・・・うわぁ!」
マキシミリアンの槍がイルトの首元を掠った。
「チッ!」
「危な・・・」
支援のかかったマキシミリアンの攻撃をかわし続けるのは不可能に近い。
疲れの出てきたイルトにマキシミリアンの攻撃が徐々に掠り始めていた。
「皆マジでやばいって!早く止めてくれ!!」
必死にそう言ったイルトの言葉はもう皆にはとどかなかった。
「イルト・・・なむ」
「君の事は忘れない・・」
「どうか安らかに・・」
「あの世でまた会おうな」
「イル㌧の最後は輝いていたよ・・」
「・・・・信じてたのに・・」
皆はそう言ってイルトとの別れを惜しんでいた。
「まだ死んでないよ!って言うか勝手に殺さないでくれ!!」
「・・・・お前はもう・・死んでいる・・・」
「生きてるよ!ってかどこぞの世紀末救世主伝説に出てくる主人公みたいなことを言うな!」
そう言いながらも本当に状況はやばかった。
「く・・・。(やばいな・・・このままじゃ本気で殺される・・・。こうなったらあれしかない!!)」
覚悟を決めイルトは最後の賭けに出た。
動きを止め身構える。
「ついに諦めたかイルト!これで終わりだ!!」
そう言ってマキシミリアンは渾身の力を込めて槍を突き出した。
「今だ!!奥義『悠風の雪月花』!!!」
そう言ってイルトは持っていた全ての花を空中に投げ出し、その中心でマグナムブレイクを使った。
ボフッ!
爆風に乗り、まるで静かに舞い降りる雪のように辺り一面に白い花びらが舞った。
「!?」
視界が花びらによって遮られる。
マキシミリアンはその予想外の状況に驚き動きを止めた。
そして花びらはマキシミリアンを含め溜まり場にいたスノーシロップのメンバー皆を優しく包み込んだ。
「うわ~綺麗・・・・」
「良い匂い・・・」
「優しい香りがする・・」
「・・・こいつは驚いた・・」
「すごい・・」
「うん・・すごい・・・」
その幻想的な空間に皆は歓喜の声を上げた。
そしてマキシミリアンも
「雪・・・」
そう一言呟きどこか遠い記憶と重ねている様だった。
しかしその空間も永遠ではなく、やがてゆっくりと終わりを告げた。
「・・・・・」
メンバー皆はまだどこか幻想の余韻が残っているのか無言だった。
そんな中さゆきちはどこか悲しそうにマキシミリアンに声をかけた。
「マキ・・・」
「ああ・・大丈夫だ、少し・・思い出していただけだから・・」
「・・・・」
「それに、今はお前がいるだろ?」
そう言ってマキシミリアンはさゆきちの頭を撫でた。
「マキさん・・・」
「さゆ・・・・」
二人はお互いに見つめ合い、そして自然に惹かれ合う様にお互いの顔の距離が縮まる・・・。
「あ~ゴホン、お取り込み中悪いんだが俺達がいることを忘れてないか?」
それを見かねたもとのぶが言いにくそうに人差し指で頬をかきならがそう言った。
「うわぁ!?」
「きゃ!?」
突然の声に我に返った二人は慌てて顔を引き離す。
「もう、もとさん!?今良い所だったのに邪魔したらダメじゃないの!」
音夢がもとのぶにそう言った。
「いやでもな音夢、流石に皆見てるわけだし・・」
「ボクは何も見てないよ?」
「俺も何も見てないな」
「僕も見てないですね」
「私も」
タラが言った一言に皆一斉に口を合わせ白を切った。
「いや・・うん実は俺も何も見てなかったんだ。というか今何かあったか?何もなかったよな?そう言う事だからマキ、さゆ遠慮しないで続けてくれ!」
「・・・・」
さゆきちは恥ずかしそうに俯いたまま何も言わなかった。
「殿・・・後で覚えていろよ・・・」
マキシミリアンは自分の失態への後悔と共にもとのぶへの怒りを必死に抑えていた。
「と・・所でイルっち、その女の子は誰だ?」
もとのぶは何とか話題を変えようとイルトにそう言った。
「ん?あ~そう言えば説明するのを忘れていたね」
そう言ってイルトはナイルに手招きした。
「紹介するね、この子はナイル。もとさんとマキさんは会ったことあるよね?」
「ん?あったかなぁ・・・」
「あ~あ、殿あの時だ。確か何年か前にモロクで会ったあの子だよ」
「モロク?ん~・・・・ああ、あの子か。そう言えばどことなくあの子の面影があるな」
「・・・・ナイル・・・・?」
「ん?七どうかしたか?」
「ううん、なんでもない・・・ちょっと・・気になっただけ」
ナイルの名を聞き、少しだけ七の様子がおかしかった。
「それでまぁいろいろ会ったんだけど、この子を探してて集会に遅れたってことで・・・」
「探しててどうして集会に遅れるんだ?」
「う・・それは・・」
「どうしてなのかな?イルト君」
もとのぶは尋問するようにイルトを問い詰める。
「・・・・ゴメンナサイ。
探すのに夢中で集会の事を忘れてちょっと遠くまで行ってました」
「なるほどそう言う事か、わかった。とりあえずイルト、ちょっと俺の近くまで来い」
「?」
言われるがままにイルトはもとのぶの近くまで行った。
「てい!」
ゴン!
いきなりもとのぶはイルトの頭を思い切り殴った。
「っ痛~~・・・」
「いいかイルト?もう忘れるなよ?」
「・・・・はい、すいません」
「うむ、わかればよろしい」
もとのぶは満足げにそう言うと、イルトを元の位置へ戻らせた。
「とりあえずイルトも来た事だしそろそろどこかへ行くか?」
「そうね、どこがいいかしら・・」
「ん~この前って何処に行ったっけ?」
「確か前は・・・」
「そういえば俺のサンタ帽誰か知らないか?」
「え?そう言えばさっきまで被ってたよね?」
「あれ?ホントだ。なんか殿に違和感があったんだよ~」
「お前ら今まで気づかなかったのか・・・とりあえずどこいっ・・てイルト!俺のサンタ帽から足を退けろ!!」
「え?あ・・・」
イルトは慌ててサンタ帽から足を退けた。
「あ~・・俺のサンタ帽が見るも無残な姿に・・・」
「ま・まぁもとさん、少しくらいボロボロの方が感じが出ていいじゃない」
「良い訳ないだろ!きさま・・よくも俺の命のサンタ帽を!!!」
「ちょとそんな事より早く行き先決めるわよ!」
「そんな事って・・俺には大切な」
「決めるわよ!」
「はい・・。そう言えばイルトが連れてきたあの子はどうするんだ?一緒に行くのかい?」
もとのぶはイルトにそう聞いてみた。
「え?あ~そう言えば何も考えずに一緒に連れてきちゃったな。ナイルはどうする?俺達と一緒に行くか?」
イルトはナイルにそう尋ねた。
「・・・・・」
ナイルはどこか遠くの方を見つめ、まるでイルトの言葉は届いていない様であった。
「ナイル・・・?」
「・・・・・・聞こえる・・」
「え?何?」
「・・聞こえる・・・」
「どうしたんだナイル?」
「・・・悲鳴が・・聞こえる・・・お願い・・もう泣かないで・・私が・・守るから・・・」
そう言うとナイルは突然何処かへ駆け出した。
「ナイル?どうしたんだナイル!?」
しかしイルトの言葉はナイルには届かなかった。
「突然どうしたんだあの子?」
「わからない・・」
「イルト~お前何かしたんじゃないか?」
「う~ん心当たりが無いんだ」
「いやほら、殿見たく存在でセクハラしてたとか」
「ちょ・・マキ何だとゴラァ!」
「事実だ」
「な!?」
「事実よ」
「事実だね」
「事実だよね」
「ちょ・皆まで!!?」
「諦めろ殿、事実なんだから」
「ぐ・・・そんなはずは・・」
「そんな事よりあの子突然どうしたんだろうね?」
「またそんなことって・・・」
もとのぶが軽く拗ねてみるが全く相手にはされなかった。
「う~ん、悲鳴が聞こえるって呟いてたように聞こえたけど・・」
「悲鳴?」
「そうなんだけど何も聞こえないし・・・」
イルトがそう言いかけたときある事に気がついた。
ザワザワザワ。
「ん?なぁ皆、何か周りがやけに騒がしくない?」
「そう言えば・・そうだな」
「そうね、何かあったのかしら?」
「し!皆静かに!!」
さゆきちが皆にそう言った。
静まり返った溜まり場に周りの人々の話し声が聞こえてきた。
「なぁお前聞いたか?」
「何を?」
「プロンテラが今襲撃を受けてるって話」
「え?マジかよ!?」
「何だお前知らなかったのか?今街中この話で持ちきりだぞ?」
「マジかよ・・・、でも何で急に襲撃なんか・・」
「詳しくは知らないが、突然不死者達がプロンテラに攻め込んできたらしいぜ」
「・・・」
「それでだ、今プロンテラ騎士団が懸命に応戦してるらしいが状況はかなりやばいらしい」
「マジかよ!?あのプロンテラ騎士団だぞ!!?」
「いきなり大きい声出すなって!」
「ごめん」
「何でも・・・」
突然の話にその場に居た誰もが耳を疑った。
「(プロンテラが襲撃された・・・?)」
その言葉にイルトは胸騒ぎを覚えた。
「(まさか・・悲鳴が聞こえるってこの事を言ってたんじゃ・・・。だとしたらナイルはプロに・・・・・)」
胸騒ぎが確信へと変わる。
「くそ!!シル行くぞ!!!」
イルトはペコペコに飛び乗ると一気に駆け出した!
「待てイルト!何処に行く!?」
マキシミリアンの静止の声もイルトには既に届かなかった。
「俺がもっと早く気が付いていれば・・頼む・・間に合ってくれ!!」
イルトは嫌な予感を断ち切るかのようにプロンテラを目指しペコペコを全力で疾走させた。
「くそ!イルトの奴まさかプロへ向かったんじゃないだろうな・・」
「いや、あの方角なら間違いなくプロンテラだ」
もとのぶはイルトの向かった方角を指しそう言った。
「ちっあのやろう!一人で何する気だ!」
マキシミリアンは止められなかった自分へのイライラを剥き出しに自分のペコペコに飛び乗った。
「マキお前までどこに行く気だ!?」
「プロに決まってるだろ!?イルトを放っておけるか!!」
「落ち着けマキ!お前一人で何が出来る!?」
「だが!!」
「皆冷静になって!!」
その時さゆきちの声が溜まり場に響いた。
「マキ、少し落ち着きなさい。これは個人の問題ではありません」
「・・・・・・すまなかった」
「いいんです、焦る気持ちは皆同じですから」
皆その言葉に静かに頷く。
「どんな時でも冷静に対処する、それが出来なければ何人向かおうと結果は同じです」
「・・・・・・・」
先ほどまで冷静さを失っていたマキシミリアンには耳に痛い言葉であった。
「辛いですが今は耐えてください。何も準備が整わないまま向かってもやられるのは目に見えているのです」
そう言いながらさゆきちは拳を強く握り締めていた。
さゆきちだってすぐにでも駆け出したかった。
でもこんな時だからこそ自分がここで皆を導かなければいけない・・・マスターであることの責任と重みを胸に必死に自分の気持ちを押し殺していた。
「さゆ・・・」
マキシミリアンは自分の無責任さを後悔した。
「マキ、殿、七、音夢、タラ、ヴァレンス、私達スノーシロップはこれからプロンテラへ向かいます。
作戦内容はイルトの捜索及びプロンテラ内の住民の救助と敵の殲滅、戦況はこちらが不利と見て間違いないでしょう。
なのでこちらもそれ相応の連携が必要とされます」
「・・・・・」
「マキは先頭で敵の殲滅を行ってください、油断は禁物ですよ」
「わかった」
「タラは敵の陽動と殲滅、マキと連携を取り出来る限り敵の目を引き付けてください」
「うん」
「次に殿と七、殿は私と共にマキとタラの支援及びサポート、七は音夢の支援及びサポートを行ってください」
「OK」
「うん、わかった」
「ヴァレンスは後方で音夢のサポート及び七を狙う敵を殲滅してください」
「わかったよマスター」
「最後に音夢は後方での敵の殲滅、敵の挟み撃ちをなんとしても防いでください」
「わかったわ」
「激戦が予想されます、各自準備を万全に整えてください」
皆が一斉に頷く。
「準備が整い次第ここに集まってください。プロンテラへワープポータルで移動するのは危険だと思いますので、まずイズルートまで私がワープポータルで送りそこから徒歩でプロンテラを目指します」
「わかった」
「それでは各自準備を!!」
『はい!』
一斉にそろったその声と共に各自準備を開始した。
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by iruto | 2008-05-24 11:24 | 風に舞う花のように
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