風に想いをのせて・・・

風に舞う花のように~第2章~

(´・ω・`)ノ チャオ♪

更新しますよー。
このままのペースで終わるのだろうか・・・・。



[9]

ズドーン!!キン!キン!ズザーーーーーーー!
街中で繰り広げられている激しい戦闘の音は門の外にまで響き渡っていた。
プロンテラの西門に到着したイルトは驚愕した。
激しい金属音と爆発の音、そして街から上がる煙と炎、そこにはもういつもの美しい街並みは存在していなかった。
「なんて事だ・・あのプロが・・・まさかナイルはこの中に・・・」
嫌な汗が背中を伝う。
「シル、ここで待ってろ」
そう言ってイルトはペコペコから降りると、西門の扉を開けようと手をかけたその時だった、
「うぅぅ・・」
近くで微かな呻き声が聞こえた。
「誰かいるのか?」
イルトは辺りを見回してみる。
すると西門の直ぐ脇で壁にもたれ掛かるようにして蹲る人影を発見した。
「どうした!?」
イルトが駆け寄る。
鎧に身を纏った姿からどうやらプロンテラ騎士団の一員であるようだった。
顔は血に染まり、胸には鎧を切り裂くほどの深い傷がありそこからは今もなお止まることなく血が流れ出していた。
その姿がどれほどの激しい戦闘だったかを物語っていた。
「う・・だ・・誰だ・・?」
微かに聞こえる程の声でそう言いながらその騎士は顔を上げた。
顔からは血の気がなく目は輝きを失い焦点も虚ろであったが、その顔にイルトは見覚えがあった。
それは嘗てイルトと一緒に剣の修行に励み、そして共に騎士を目指した同期の仲間・・・・
「カイル!!!」
カイル=ラ・ゲイツであった。
「その声は・・・腰抜けイルト・・・か・・・?」
「ああそうだ」
「き・・きさまの様な腰抜けが・・ここに何の用だ」
「今はそんな事言っていられる状況じゃないだろ?」
「・・・・・」
「カイル、何があった・・」
「きさまには・・・関係のない事だ・・・」
「教えてくれカイル!」
「それを聞いて今のきさまに何が出来る?腰抜けらしく大人しく帰・・」
「出来る訳ないだろ!」
イルトは強い口調でカイルの言葉を遮った。
「お前が・・友がここまで傷ついているのに・・・」
「友・・か・・」
カイルは少し悲しそうな笑みを浮かべた。
「まだ俺の事を友と呼ぶのか・・」
「カイル頼む教えてくれ・・・この中に守りたい人が・・守らなければいけない人がいるかもしれないんだ・・・」
「・・・・・・」
「頼む・・・」
「守りたい人か・・・」
その言葉にカイルはどこか遠い昔の記憶を思い出した。
(「なぁどうしてイルトは騎士になりたいんだ?」)
(「俺は大切な人を守れる力が欲しいんだ、大切な想いを守るために・・・そしてもう二度と悲しい想いをしないために」)
(「そうか・・・、お前ならきっとなれるさ」)
(「そうかな?」)
(「なれるさ、俺が保証する。
いつかお互いが騎士になったその時は、笑いながら一緒に酒でも飲もうぜ」)
(「そうだな、約束だ」)
(「ああ、約束だ」)
「あの頃と何も変わってないんだな・・・お前は、いや・・変わったのは俺か・・・」
カイルは少し空を眺め、そしてゆっくりと話し始めた。
「原因は俺も詳しくは知らないんだが、突然街の中に不死者の大群が現れ次々と住民を襲い始めたんだ。
俺達騎士団は王の命令で奴らの殲滅に向かった。
最初は俺達が圧倒的に有利だった、だが奴らの数は減るどころか増え続け戦いは持久戦に持ち込まれた。
今は中央から始まり騎士団本部、大聖堂、そしてプロンテラ城入り口を中心に奴らは攻め込んできている。
奴らには痛みや恐れ、そして疲れがない・・・。
まだ騎士団で防いでるとはいえこのままでは・・・」
「そんな・・・・」
カイルから聞いた内容・・それはイルトが考えていたよりも深刻であった。
「うぅ・・・ぐ・・・」
「カイル!?待ってろ、今手当てする!」
「大丈夫だ・・・大した事ない・・少し痛んだ・・だけだ・・」
「だがそんな傷で大丈夫なわけが!」
「大丈夫だ、自分の身体の事は自分が良く知っている。
それより・・・お前に聞きたい事がある・・・・」
「しかし・・・」
「いいから教えてくれ・・まだ・・剣は抜けないのか・・?」
「!?」
「まだ・・・なんだな・・」
「ああ・・・」
「そうか・・・・」
「・・・・・」
「それでもお前は中に行くのか?」
「ああ」
「・・・どうせお前の事だ、止めても無駄だろう?」
「そうだな」
「・・・・・・ならこれを持って行け」
そう言ってカイルは自分のマントをイルトに手渡した。
「これは・・・モッキングマント?」
モッキングマント・・それは特殊な素材で編まれたマントにウィスパーと言う魔物の力を封じ込めたマント。
普通のマントとは違い魔物の力を封じ込めることが出来るマントは大変希少であり、値段もかなり高価である。
マントに限らず他にも魔物の力を封じ込める事が出来る武器や防具、アクセサリーなどが数多くあるが、それらもまた高価な値段で取引されていた。
「俺からの餞別だ、貰ってくれ」
「だが・・・」
「俺にはもう・・必要ない。
だからそれで守ってやってくれ、お前の大切な人を」
「カイル・・・ありがとう」
イルトはカイルからマントを受け取り肩に掛けた。
「すまなかったな、腰抜けって呼んで・・」
「どうしたんだ?」
「ただ・・謝りたかっただけさ」
「?」
「今度会うときは一緒に酒でも飲もうぜ」
「そうだな、約束だ」
「ああ、約束だ」
そう言って二人は握手を交わす。
そう・・・あの頃と同じように。
「イルト、死ぬなよ」
「ああ。
カイル、お前も死ぬなよ」
「勿論だ」
「・・・・本当に大丈夫なんだな?」
「お前にはやるべきことがあるだろ?俺に構ってないで早く行くんだ」
「わかった、それじゃ・・行ってくる」
そう言ってイルトは西門を潜り中へと入っていった。
「行ったか・・・」
それを確かめると同時にカイルの身体から力が失われていく・・・
「俺は・・ここまでか・・」
そう言ったカイルからの傷口からはもう血が止まっていた。
いや、止まったのではない・・・もう流れ出る血がないのである・・・。
「イルト・・お前との・・約束・・は・・・守れそうに・・・・ない・・」
全身の力が抜け・・・目蓋が段々と重くなる・・・。
「俺はただ・・・お前の実力に・・嫉妬してただけなのかも知れないな・・・・。
もっと早くに気づけていたら・・・俺達から姿を消した・・・あの日・・・の・・お前と・・・笑いあえただろうか・・・・」
身体の感覚が徐々に薄れていく・・・。
「イルト・・お前ならきっとやれる・・・・きっとだ・・・最後に・・・お前に・・・あの日の・・・お前に・・・・謝り・・・た・・・か・・・」
そしてカイルの瞳はゆっくりと閉じていった・・・・。
二度と開かれる事の無い・・・その瞳を・・・・・。
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by iruto | 2008-07-03 22:09 | 風に舞う花のように
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