風に想いをのせて・・・

風に舞う花のように~第2章~

(´・ω・`)ノチャオ♪

さくっと更新ですよ~。
なるべく更新の頻度を上げるように努力します・・・。



[10]

ギギギギギ・・・・
重い音と共に開いた西門をくぐりイルトは驚愕した。
西門からプロンテラに入ったイルトが見た光景、それはもう戦場であった。
西門近くには傷ついた兵士が次々に運びこまれ、プリーストの手により手当てを受けていた。
どうやら西門付近は敵の手が及んでいないらしく避難場所として使われているようだった。
だが運び込まれた兵士達は皆重症の者が多く、手当てと呼べる状況とはかけ離れていた。
「うぅ・・・痛い・・」
「しっかりして!諦めちゃダメ!!」
「痛い・・俺を・・・殺してくれ・・・」
「何を言っている!?お前は兵士だろ!弱気になるな!!」
「くそ・・こんな所で死ぬわけには・・」
「おい!誰か他に手の空いているプリーストは居ないのか!!?」
「誰か手を貸してくれ!!」
「ヒール使える者ならアコライトでも構わない!手当てを手伝ってくれ!!」
「まだ他の街の救援隊は来ないのか!?この人数じゃ持たないぞ!!」
「重傷者から先に手当てしろ!!命を救うことを優先するんだ!!!!」
「誰か・・助けて・・くれ・・」
「くそぉ!!死ぬな!!!」
悲痛な叫びが飛び交う空間、そこはもう生か死しか存在しなかった。
悲しみが渦巻く世界・・・今それが目の前に広がっていた。
「どうしてこんな・・・・もしこの中にナイルがいるのだとしたら・・・くっ!!」
イルトは全力で駆け出した。
本当にナイルがここにいるなんてわからない、でもイルトは何故か確信していた。
ナイルは必ずここに居ると。
「ナイルどこにいる!?」
しかしそう叫んだ声も戦闘の音によりかき消される。
焦りがイルトを追い詰める。
もう手遅れなのかもしれない、そんな嫌な考えを振り切るようにイルトは走り続けた。
「ナイル!?どこだ!!?居たら返事してくれ!!」
どこかにナイルがいる・・・不思議と感じるその感覚だけが頼りだった。
不安と焦りを胸に感じながらイルトはただ走り続けた・・・そう・・あの時と同じように・・・・。
キン・・キン・・・・
「!」
イルトがプロンテラの中央からやや北東に位置する住宅街の近くを通ったときだった、微かに女の子の泣き声と、周りとは明らかに異なる戦闘の音が聞こえた気がした。
イルトはその音がした方へと駆け出した。
「ナイル!!」
するとそこに居たのは小さな女の子を庇いながら戦っているナイルと、ナイルを取り囲むように群がる不死者たちだった。
「くぅ・・数が多い・・・」
ナイルは必死にカタールを振るい不死者から女の子を守っている。
「ナイル!?くそ・・・やらせるものかぁーーーー!!!」
イルトは一気に力を爆発させ、ナイルに攻撃を仕掛けていたグールに一瞬で近くと同時に肘打ちで吹き飛ばした。
チャージアタックだ。
そしてそれと同時に詠唱し炎の力を宿した拳で不死者の群れ目掛け爆炎を起し吹き飛ばす。
「グォォ」
不死者たちは後方へと吹き飛ばされた。
「間に合ってよかった、ナイル大丈夫か!?」
「イルト!?どうしてここに・・・」
「話は後だ、まずはここから逃げることが先決だ」
「う・・うん」
「えぐえぐ・・怖いよぅ・・」
「大丈夫、お姉ちゃんが必ず守って見せるから」
「えぐ・・ぐすん・・シロ・・お姉ちゃん信じる・・」
小さな女の子はナイルの手をしっかりと握った。
「く・・やっぱり素手だと倒すことは出来ないか・・・」
見ると先ほど飛ばされた不死者たちは何事もなかったかの様にイルト達に迫ってきていた。
「グールだけなら何とかなるがレイスやイビルドルイドまで居るとなると・・・」
「イルト・・・」
「く・・・・(俺とナイルだけなら何とかこの場を切り抜けることも出来る、だがそれではこの子が・・・・・)」
その間にも不死者はイルト達に迫ってくる。
考えている暇はない、今自分が出来ること・・・それは
「ナイル、話がある」
「え?」
「その子を守り抜くこと・・・出来るか?」
「わからない・・でも守りたい」
「わかった」
「イルト?」
「いいかナイル、俺がこれから道を作る。
ナイルはその女の子を連れてここから逃げろ」
「え?イルト何言って・・・それじゃイルトは・・?」
「その子を守るにはこれしか方法が無いんだ、わかってくれナイル」
「嫌・・そんなの嫌・・・だって・・・」
「ごめんなナイル・・今の俺が出来るのはこれが精一杯だから・・・。
でも必ず道は作ってみせる!」
イルトは精神を集中し詠唱を始めた。
「やめて・・お願いだから・・・」
「ナイル・・・その子を頼んだぞ」
「嫌・・嫌・・・」
イルトの右腕に今までに無い強烈な炎の力が宿る・・・
「不死者よ・・悪いが道は空けさせてもらう!!・・・マグナムブレイク!!!」
ズドン!!!
イルトのマグナムブレイクが不死者たちに炸裂した。
「グォォォ!!!」
不死者たちは後方へと一気に吹き飛んだ。
今までにないイルトの本気のマグナムブレイク、その威力は例え素手だとしてもそう耐えられるものではない。
不死者たちはそのダメージにより少しの間硬直していた。
だがそれはイルトも同じで、渾身のマグナムブレイクを撃ったイルトもその反動で身体が硬直して動かなかった。
「今だナイル、俺に構わず行くんだ!!!」
「嫌・・出来ない・・私・・・」
「ナイル!」
「・・・う・・ぅぅ・・どうして・・どうしてこんな・・」
ナイルは振るえる手で女の子の手を確りと握り締め、走り出した。
「そうだ・・それでいい・・・」
イルトの周りには硬直から開放された不死者たちが迫り始めていた。
「ち、もう動き始めたか。もう少しゆっくりしてくれてもいいんだけどな・・」
イルトは深呼吸をした。
「素手でどこまでやれるかな・・・」
イルトは体術の構えをとった。
「グォ!」
不死者たちが一斉に攻撃を仕掛けてくる。
「く・・」
イルトは懸命にかわし続ける。
「身体が軽い・・マントの力か」
しかしいくら回避率が上がったとしてもかわし続けるのは困難を極める。
「ハッ!」
攻撃をかわしながらイルトは体術で応戦するが相手が悪い、痛みの感じない不死者にとって所詮騎士の体術など高が知れているのである。
「くそ・・ならこれでどうだ!」
右足から繰り出される下、中、上の三連蹴りにそこから繋げた空中回し蹴り、しかし不死者には致命傷とは程遠いものであった。
「く・・・やはり素手じゃモンクには敵わないしな・・」
ざっと11匹はいるだろう不死者は容赦なくイルトを追い詰める。
「ハァハァ・・ここまで囲まれてると・・・」
幸い不死者の足は遅いので一気に間合いを詰められる心配はほとんどない、しかし数が多すぎる。
「ぐぁ!」
レイスの攻撃がイルト右肩を抉った。
傷によりイルトの動きが鈍る。
「しまっ・・」
「グオオォォ!」
ズグシュ!
かわしきれずグールの牙がイルトの左腕に食い込んだ。
そしてそれと同時に他のグールたちもイルトの両手、両足にその牙を突き立てる。
「ぐぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
激痛と共にグールによる毒が身体を駆け巡る。
「ち・・くしょ・・う・・」
視界が歪み意識が薄れていく・・・・。
「俺から・・離れ・・・ろ!!」
ズドン!
力を振り絞りマグナムブレイクで牙を突き立てていたグールたちを頭ごと消し飛ばす。
「ハァハァ・・・うっ・・」
今ので更に毒の回りを早めたのか一瞬意識が消えかけたイルトは地面に膝をついた。
しかしそんなイルトを敵の攻撃は待ってくれなかった。
「!」
目の前まで接近したイビルドルイドがイルトの心臓目掛け攻撃をしようとしていた。
「かわさ・・な・・・きゃ・・」
朦朧とする意識の中で懸命にかわそうとしたが、身体に力が入らない・・。
「くっ・・・・」
無防備のイルトにイビルドルイドの攻撃が迫る。
「セーフティーウォール!!」
突如聞こえたその声と共にイビルドルイドの攻撃がイルトに届くギリギリのタイミングで淡いピンク色の光がイルトを包み込んだ。
「うぉぉぉ!!ブランディッシュスピアァァァァ!!!!」
イルトを取り囲んでいた不死者たちが一斉に吹き飛んだ。
「グリムトゥース!!」
隆起した地面の刃が吹き飛ばされた不死者たちを拘束し動きを止める。
「今だ殿!」
「ああ!・・・我は神に仕えし聖界の使徒、我が祈りにてその御心を示さん・・開け!光聖の領域よ!!サンクチュアリ!!!」
イルトを中心に展開されたその領域は、イルトの傷を癒すと共にその領域内にいる全ての不死者たちを次々と浄化していった。
「ふぅ・・・間に合ったか」
「大丈夫か?イルト」
「ギリギリ間に合ったね」
そう言ってイルトの目の前立っていたのはマキシミリアン、もとのぶ、そしてタラックだった。
「皆・・・どうしてここが・・?」
「まだ話すな、タラ解毒を」
「うん」
タラックはイルトの身体に自分の魔力を送り込み毒を中和した。
「ありがとうホントに助かった。でもどうしてここがわかったんだ?」
「この子が教えてくれたのさ」
そう言ってマキシミリアンは親指で後ろを指差した。
「イルト!!」
ナイルが泣きながらイルトに抱きついた。
「良かった・・無事で・・」
「ナイル・・・?どうして・・」
「プロでお前を探していた時に偶然逃げているこの子に出会いお前の場所を教えてもらったのさ」
「まぁこの近くに来れたのはこれのおかげだけどな」
もとのぶが指差したその先にはあのポリンがいた。
「ピキー」
「お前・・・」
「こいつがお前の匂いを追ってこの近くまで案内してくれたのさ」
「そっか・・ありがとな」
そう言ってイルトはポリンの頭を撫でた。
「ピキュ~」
「そうだ、あの子は・・?」
「あの子?ああ、もう一人の女の子はさゆ達が安全な場所に連れて行った」
「そうか・・」
「イルト、お前がどんなに危険な行動をしたかわかるよな?」
マキシミリアンは少しきつめの言葉でそう言った。
「・・・・・・」
「お前には言いたいことが山ほどある、帰ったら覚悟しろよ。
だが、今はまずさゆ達と合流することが先決だ、いくぞ」
皆それに頷くと、合流場所へ向け駆け出した。
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by iruto | 2008-07-18 07:08 | 風に舞う花のように
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